TSUGU MAGAZINE VOL.02

Makers MARYAM HORSE BUTT HORSE ENGINEER

エンジニアブーツと聞くと、重厚で無骨。
そんなイメージを思い浮かべる方も多いかもしれません。

ですが、この一足は少し違います。

ベースとなったのは1940年代のヴィンテージエンジニアブーツ。
クラシックな10インチハイトを採用しながらも、実際に足を通すと驚くほど軽やかで、自然と足に馴染む感覚があります。

その履き心地を支えているのが、アッパーに使用されたMARYAM社製のホースバットレザー。

イタリア・トスカーナ州のタンナー、MARYAM社によって仕上げられたこの革は、馬の臀部“BUTT”と呼ばれる繊維密度の高い部位のみを使用。
植物タンニンでじっくり鞣し、茶色に染めた下地の上から黒を重ねた“茶芯”仕様となっています。

さらに、バケッタ製法によってたっぷりとオイルを含ませることで、厚みがありながらも柔らかく、履き始めから足に馴染みやすい質感に。

履き込むほどに表面の黒が擦れ、内側の茶色が浮かび上がる。
皺や擦れが重なることで、革に立体感と奥行きが生まれ、まるで長年付き合ってきたヴィンテージブーツのような表情へと変化していきます。

また、ホースバット特有のキズや血筋、トラなども、この革ならではの魅力。
均一ではないからこそ、一足ごとに異なる個性が宿ります。

シルエットも非常に美しい仕上がりです。

ナローなラウンドトゥをベースに、シャフトはやや細身に設計。
さらに、ヴィンテージにも見られるライディングカットの履き口を組み合わせることで、エンジニアブーツ特有の無骨さを残しながら、どこか上品な印象に仕上げられています。

足元にボリュームはありながらも、野暮ったさを感じさせない。
まさに“大人が履けるエンジニアブーツ”という表現が似合う一足です。

製法にはグッドイヤーウェルテッド製法を採用。
ミッドソールにはオイルをたっぷり含ませたベンズレザーを使用し、アウトソールとヒールにはDr.Sole製のセパレートソールを装着しています。

高い耐久性を備えながら、屈曲性やグリップ力にも優れており、日常の中で自然と履きたくなる実用性も兼ね備えています。

履き口の補強革やステッチ、バックルに採用されたニッケル製ローラーバックル、ブラックで統一されたソールエッジなど、細かなディテールも非常に秀逸。

無骨さの中に、どこか色気がある。
そして、履き込むほどにその魅力が深まっていく。

時間をかけて、自分だけの表情へ育てていけるエンジニアブーツです。